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なぜ二つの餌を使いながら、魚を一匹だけ釣るのでしょうか。 それは、一匹の魚を釣ろうという時、もう一つの餌(サツマイモをこねたもの)を水底に落とせば、別の魚がこれを食べて生き続けることができ、私は次の機会にこの魚を釣ることができるのです。もし、あなたが二つの餌で二匹の魚を釣る、こうして釣り続けると、そこにいる魚は全て釣られてしまい、いなくなってしまいます。 つまり、全てのことには必ず余地を残しておく必要があるのです。遠い未来に目を向けるべきで、目先の欲にとらわれて、全ての魚を釣り上げるようではいけません。 ビジネスにおいても、利益の一部を他人に分ける必要があります。そうしてこそ、お互いにとって良い関係が続くのです。
序文 一味違う企業家――許文龍╱ 林佳龍 世渡り ■私はただ工員になりたかっただけである、ポケットに一冊の詩集をしのばせて ■欲しい物が手に入らない? 人生とは本来そういうもの ■感謝の心で毎日を過ごす ■幸せと交換できない財産は毒薬です ■利益の一部を相手に残してこそ、商売を続けることができる ■仕事は手段、楽しく生きることこそが目的 ■仕事に夢中になるのは良いが、仕事に縛られてはならない ■問題にぶつかったら、いったん全てをリセットしよう ■お金は使ってこそお金である ■懸命に取り組むのは良いが、幸福を求める初心を忘れるなかれ ■お金は社会に戻すべき、子孫に残すことばかり考えるべきではない ■お金を子供に残すのは、子供の人生のマイナス ■考えてみよう、どれだけの人から援助を受けたかを ■今、満腹ならそれ以上の食物はいらない ■他人には寛大で夫人に冷酷な人は嫌われる ■人の運命の善し悪しは、巨額の財産とは無関係 ■大丈夫、どのような環境にあってもあなたは自由に動ける ■プライドを捨てれば、いっそう勇気が湧いてくる ■事業を行う場合、「大」が必ず良いわけではなく、「小」が必ず良くないわけでもない ■永遠に存在する企業はない ■創業の目的に近づきたいのであり、株券に近づきたいのではない ■株を上場した後、投機して株価を吊り上げないというのはあり得ない ■株を買うのは配当を待つことであり、株価が上がるのを待つことではない ■活用できない知識を詰め込むのは命の浪費である ■少年時代は大切、無駄なものを覚える必要はない ■生徒を援助するのであり、学校を援助するのではない ■試験の六十点哲学 ■マスが書かれていると、中に文字を書くことしかできない ビジネス ■経営者はワーカホリックになってはならない ■リーダーは夢を持ち、幸せな労働環境を創造するべし ■お金がある人は、お金がない人に得をさせる ■賃金からコスト低下を進めるのは無能な経営者 ■未来が見えない事業なら、それにこだわり続けてはならない ■ビジネスでは、逃げることを学ぶべき ■ビジネスに起伏は付き物 ■まず確かめる、そうすれば袋小路に入ることはない ■あなたは私を斬ることができるが、最後には私が勝つ ■従業員から試してみる勇気を奪ってはならない ■小さな局面に小さな打算は無用 ■産業を正しく選ぶことが重要 ■貸し倒れの経験がない? それは消極的すぎるから ■生産を行うことで誰もが成果を受けることができる ■地上げ屋は何も貢献することがない虚業である ■口と鼻の理論 ■少し寛大になれば、敵が戦友に変わる ■従業員が会社にマイナスの影響を及ぼした場合、必ず会社の制度に問題がある ■サプライヤーに親切であれば、あなたの重要な情報提供者となる ■製品を売り込みに来た販売員に、お茶を勧めよう ■報告書を作成しないことで、時間が節約できる ■私は理由を聞くのを好まない、時間の浪費にすぎないからだ ■誰でも自分を守る、あなたの会社の従業員も例外ではない ■誰もが好きな包子(パオズ)を作ることができる、それがあなたの競争力 ■多く儲けるのは良いが全部儲けてはならない、お客さまにも還元を ■値下げしてもらう場合でも、相手に儲ける余裕を残すべし ■お金は儲かる時は儲かる、儲からなくても鬼になる必要はない ■会社に必要なのは「管理」ではなく、「経営」である ■リーダーは責任を持たなければならない ■チームを率いる場合、リーダーシップを発揮し、全体を統括するが、細部についてはそれぞれの部門の責任者に任せる ■一人の悪人が九人の善人の中で悪事を働こうとしてもできない ■経営、それは環境への適応である ■最も重要なのはトップではなく、現場で指揮する人である ■本当の「ご主人」は、あなたの商品を買ってくれるお客さま ■「管理」の代償を軽く見てはならない ■「管理されていると感じさせない」ことが、リーダーの最高の境地 ■いつも従業員を管理することを考えるのではなく、いかに長所を発揮させるかを考える ■従業員を大事にすればするほど、私自身もますます楽しくなる ■対立していた関係から、利益を分かち合う関係に ■私がうれしければ、皆もうれしい ■最高の製品にはセールスは不要 ■ゆっくりと模索することも、一つの貴重な経験である ■習慣、慣例を打ち破る勇気を持とう ■経営者は、他人に利益を譲ることを恐れてはならない ■私が百元儲けたら、あなたには八十元を支払う ■あなたが従業員のことを思えば、従業員もあなたのことを思う 思いやり ■世界平和とは、できる人間ができない人間に利益をもたらすこと ■仕事のために家庭を顧みないようになってはならない ■問題がある従業員は、出来の良くない子供のようなもの ■景気が良くなくても構わない、私の財産を食い尽くせばよい ■あなたの会社の女性従業員は、家では大事な娘さん ■住宅価格は天井知らず、一般庶民が家を買えない国は不正常な社会である ■三個のパンの理論 ■お金を得た後 ■生活の質の向上が見られない経済成長には、何の意義があるのか? ■文明的な社会の政府は弱者を守るべき ■政府はマネーゲームを重視するべきではない ■投機による株価の吊り上げは投資家にとって悪い知らせ ■私たちの食・衣はもう足りている、これ以上、お金を騙し取る必要はない ■株式市場を救済するのは、大衆のお金で少数の投資家を保護するもの ■引き出し理論 ■最も良い政府とは、正義を司り、人民を守ることに責任を持つ政府である ■ネズミの理論、ネズミを棒で打つのは愚かな行為 ■組織の階級を多くしてはならない、多ければ多いほど組織は硬化する ■法に頼って治められている社会には、必ず法の目をかいくぐる者がいる。 ■より多くの法律を制定しようと考えるのではなく、いかにして多くの人に法律を守らせるかを考えるべき ■管理が行き過ぎると、逆効果を招く ■政府は国家の資源の配分を歪曲してはならない ■経済行為を自然に回帰させ、歪曲を発生させないようにしよう ■玄関を出てきれいな空が見えてこそ、進歩である 自然と芸術 ■自然こそ世界、オフィスは世界ではない ■自然の偉大さに触れると、人はおのずと謙虚になる ■大自然にはわれわれの保護はいらない、必要なのは破壊しないこと ■原因を探し、結果を見ない ■良い自然、良い文化、良い伝統を子孫に残そう ■豊かな社会に生きる人は、お金を文化に用いるべき ■音楽会は感動を与えなければならない ■文化活動は皆に見て、聴いて分かってもらえるものを ■博物館は大衆のために存在する ■芸術を鑑賞するには、いたずらに流行を追ってはならない ■貴重な文化資産が台湾にある、世界の耳目を台湾に集めよう ■美術の授業の目的は鑑賞力を育てること ■絵が描けない人に、制作を無理強いしてはならない ■オークションに出品された絵は株券であり、美術ではない ■音楽の授業では歌を歌うべきで、楽理を暗記させるべきではない ■子供には音楽を楽しませるべきで、恐れさせてはならない ■音楽と美術の授業を減らしたのは教育の失敗である ■唯一無二の先住民音楽 ■文化は自然の産物、パフォーマンスに頼るべきではない ■あなたは専門バカになっていませんか? ■一枚の名画は株券より価値がある ■五百年たっても、レンブラントはレンブラントである ■二つの魂の出会い ■良いバイオリンは展示するものではなく、聴いてもらうもの ■私はバイオリンの保管者である 附錄 奇美博物館紹介
作者簡介 許文龍 奇美(CHIMEI)集団の創立者。一九二八年に台南市の運河そばで生まれる。少年時代から、働きながら学校に通う生活を送る。三十一歳で奇美実業股份有限公司を設立、「台湾のアクリルの父」となる。六十三歳で自社をABS樹脂生産で世界一に成長させた。事業を成功させた後には台南市に病院、博物館を建設し、故郷の人々の心身の健康づくりに貢献している。平日は釣り、読書、バイオリン演奏、油絵制作を楽しむ。人々から尊敬され、親しまれている台湾の企業家である。 林佳龍 現・台中市長。一九六四年に台北市万華で生まれる。米国イェール大学で政治学博士号を取得。国連大学高等研究所(東京)の研究員を務めた後、台湾に戻り、国立中正大学で教鞭を執る。また台湾智庫(タイワン・シンクタンク)を創立した。これまでに国家安全会議諮問委員、行政院新聞局長、国民大会代表、民進党秘書長(事務局長)、総統府副秘書長(官房副長官)、立法委員(国会議員)を歴任。
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